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鉄道唱歌 第1集 東海道編

大和田建樹作詞

東海道線 新橋(現・汐留)〜神戸
横須賀線 大船〜横須賀
豆相鉄道 三島〜大仁
豊川鉄道 吉田〜長篠

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編内No. 通算No. 歌詞 読み 駅名
11 汽笛一声新橋を きてきいっせいしんばしを 新橋(現・汐留)
はや我汽車は離れたり はやわがきしゃははなれたり
愛宕の山に入りのこる あたごのやまにいりのこる
月を旅路の友として つきをたびじのともとして
22 右は高輪泉岳寺 みぎはたかなわせんがくじ
四十七士の墓どころ しじゅうしちしのはかどころ
雪は消えても消えのこる ゆきはきえてもきえのこる
名は千載の後までも なはせんざいののちまでも
33 窓より近く品川の まどよりちかくしながわの 品川
台場も見えて波白く だいばもみえてなみしろく
海のあなたにうすがすむ うみのあなたにうすがすむ
山は上総か房州か やまはかずさかぼうしゅうか
44 梅に名をえし大森の うめになをえしおおもりの 大森
すぐれば早も川崎の すぐればはやもかわさきの 川崎
大師河原は程ちかし だいしがわらはほどちかし
急げや電気の道すぐに いそげやでんきのみちすぐに
55 鶴見 神奈川あとにして つるみかながわあとにして 鶴見、神奈川
ゆけば横浜ステーション ゆけばよこはますてーしょん 横浜
湊を見れば百舟の みなとをみればももふねの
煙は空をこがすまで けむりはそらをこがすまで
66 横須賀ゆきは乗替と よこすかゆきはのりかえと
呼ばれておるる大船の よばれておるるおおふなの 大船
つぎは鎌倉鶴が岡 つぎはかまくらつるがおか 鎌倉
源氏の古跡や尋ね見ん げんじのこせきやたずねみん
77 八幡宮の石段に はちまんぐうのいしだんに
立てる一木の大鴨脚樹 たてるひときのおおいちょう
別当公暁のかくれしと べっとうくぎょうのかくれしと
歴史にあるは此蔭よ れきしにあるはこのかげよ
88 ここに開きし頼朝が ここにひらきしよりともが
幕府のあとは何かたぞ ばくふのあとはいずかたぞ
松風さむく日は暮れて まつかぜさむくひはくれて
こたえぬ石碑は苔あおし こたえぬせきひはこけあおし
99 北は円覚 建長寺 きたはえんかくけんちょうじ
南は大仏星月夜 みなみはだいぶつほしづきよ
片瀬 腰越 江の島も かたせこしごええのしまも
ただ半日の道ぞかし ただはんにちのみちぞかし
1010 汽車より逗子をながめつつ きしゃよりずしをながめつつ 逗子
はや横須賀に着きにけり はやよこすかにつきにけり 横須賀
見よやドックに集まりし みよやどっくにあつまりし
わが軍艦の壮大を わがぐんかんのそうだいを
1111 支線をあとに立ちかえり しせんをあとにたちかえり
わたる相模の馬入川 わたるさがみのばにゅうがわ
海水浴に名を得たる かいすいよくになをえたる
大磯みえて波すずし おおいそみえてなみすずし 大磯
1212 国府津おるれば電車あり こうづおるればでんしゃあり 国府津
酒匂 小田原とおからず さかわおだわらとおからず
箱根八里の山道も はこねはちりのやまみちも
あれ見よ雲の間より あれみよくものあいだより
1313 いでてはくぐるトンネルの いでてはくぐるとんねるの
前後は山北 小山駅 ぜんごはやまきたおやまえき 山北、小山
今もわすれぬ鉄橋の いまもわすれぬてっきょうの
下ゆく水のおもしろさ したゆくみずのおもしろさ
1414 はるかにみえし富士の嶺は はるかにみえしふじのねは
はや我そばに来りたり はやわがそばにきたりたり
雪の冠 雲の帯 ゆきのかんむりくものおび
いつもけだかき姿にて いつもけだかきすがたにて
1515 ここぞ御殿場夏ならば ここぞごてんばなつならば 御殿場
われも登山をこころみん われもとざんをこころみん
高さは一万数千尺 たかさはいちまんすせんじゃく
十三州もただ一目 じゅうさんしゅうもただひとめ
1616 三島は近年ひらけたる みしまはきんねんひらけたる 三島
豆総線路のわかれみち ずそうせんろのわかれみち
駅には此地の名をえたる えきにはこのちのたをえたる
官幣大社の宮居あり かんぺいたいしゃのみやいあり
1717 沼津の海に聞えたる ぬまづのうみにきこえたる 沼津
里は牛伏 我入道 さとはうしぶせがにゅうどう
春は花さく桃のころ はるははなさくもののころ
夏はすずしき海のそば なつはすずしきうみのそば 鈴川(現・吉原)
1818 鳥の羽音におどろきし とりのはおとにおどろきし
平家のはなしは昔にて へいけのはなしはむかしにて
今は汽車ゆく富士川を いまはきしゃゆくふじがわを
下るは身延の帰り舟 くだるはみのぶのかえりぶね
1919 世に名も高き興津鯛 よにもなだかきおきつだい 興津
鐘の音ひびく清見寺 かねのねひびくせいけんじ
清水につづく江尻より しみずにつづくえじりより 江尻(現・清水)
ゆけば程なき久能山 ゆけばほどなきくのうざん
2020 三保の松原 田子の浦 みほのまつばらたごのうら
さかさにうつる富士の嶺を さかさにうつるふじのねを
波にながむる舟人は なみにながむるふなびとは
夏も冬とや思うらん なつもふゆとやおもうらん
2121 駿州一の大都会 すんしゅういちのだいとかい
静岡いでて阿部川を しずおかいでてあべかわを 静岡
わたればここぞ宇津の谷の わたればここぞうつのやの
山きりぬきし洞の道 やまきりぬきしほらのみち
2222 鞘より抜けておのずから さやよりぬけておのずから
草なぎはらいし御剣の くさなぎはらいしみつるぎの
御威は千代に燃ゆる火の みいつはちよにもゆるひの
焼津の原はここなれや やいづのはらはここなれや 焼津
2323 春さく花の藤枝も はるさくはなのふじえだも 藤枝
すぎて島田の大井川 すぎてしまだのおおいがわ 島田
むかしは人を肩にのせ むかしはひとをかたにのせ
わたりし話も夢のあと わたりしはなしもゆめのあと
2424 いつしか又も暗となる いつしかまたもやみとなる
世界は夜かトンネルか せかいはよるかとんねるか
小夜の中山 夜泣石 さよのなかやまよなきいし
問えども知らぬよその空 とえどもしらぬよそのそら
2525 掛川 袋井 中泉 かけがわふくろいなかいずみ 掛川、袋井、中泉(現・磐田)
いつしかあとに早なりて いつしかあとにはやなりて
さかまき来る天竜の さかまききたるてんりゅうの 天竜川
川瀬の波に雪ぞちるかわせのなみにゆきぞちる
2626 この水上にありと聞く このみなかみにありときく
諏訪の湖水の冬げしき すわのこすいのふゆげしき
雪と氷の懸橋を ゆきとこおりのかけはしを
わたるは神か里人か わたるはかみかさとびとか
2727 琴ひく風の浜松も ことひくかぜのはままつも 浜松
菜種に蝶の舞坂も なたねのちょうのまいさかも 舞坂(現・舞阪)
うしろに走る愉快さを うしろにはしるゆかいさを
うたうか磯の波のこえ うたうかいそのなみのこえ
2828 煙を水に横たえて けむりをみずによこたえて
わたる浜名の橋の上 わたるはまなのはしのうえ
たもと涼しく吹く風に たもとすずしくふくかぜに
夏ものこらずなりにけり なつものこらずなりにけり
2929 右は入海しずかにて みぎはいりうみしずかにて
空には富士の雪しろし そらにはふじのゆきしろし
左は遠州洋近く ひだりはえんしゅうなだちかく
山なす波ぞ砕けちる やまなすなみぞくだけちる
3030 豊橋おりて乗る汽車は とよかわおりてのるきしゃは 豊川
これぞ豊川稲荷道 これぞとよかわいなりみち
東海道にてすぐれたる とうかいどうにてすぐれたる
海のながめは蒲郡 うみのながめはがまごおり 蒲郡
3131 見よや徳川家康の みよやとくがわいえやすの
おこりし土地の岡崎を おこりしとちのおかざきを 岡崎
矢矧の橋に残れるは やはぎのはしにのこれるは
藤吉郎のものがたり とうきちろうのものがたり
3232 鳴海しぼりの産地なる なるとしぼりのさんちなる
鳴海に近き大高を なるとにちかくおおたかを 大高
下りておよそ一里半 くだりておよそいちりはん
ゆけば昔の桶狭間 8eゆけばむかしのおけはざま
3333 めぐみ熱田の御やしろは めぐみあつたのみやしろは 熱田
三種の神器の一つなる さんしゅのじんぎのひとつなる
その草薙の神つるぎ そのくさなぎのかみつるぎ
あおげや同胞四千万 あおげやどうほうしせんまん
3434 名だかき金の鯱は なだかききんのしゃちほこは
名古屋の城の光なり なごやのしろのひかりなり 名古屋
地震のはなしまだ消えぬ じしんのはなしまだきえぬ
岐阜の鵜飼も見てゆかん ぎふのうかいもみてゆかん 岐阜
3535 父やしないし養老の ちちやしないしようろうの
滝は今なお大垣を たきはいまなおおおがきを 大垣
三里へだてて流れたり さんりへだててながれたり
孝子の名誉ともろともに こうしのめいよもろともに
3636 天下の旗は徳川に てんかのはたはとくがわに
帰せしいくさの関ヶ原 かえせいくさのせきがはら 関ヶ原
草むす屍いまもなお くさむすかばねいまもなお
吹くか胆吹の山おろし ふくかいぶきのやまおろし
3737 山はうしろに立ち去りて やまはうしろにたちさりて
前に来るは琵琶の海 まえにきたるはびわのうみ
ほとりに沿いし米原は ほとしにそいしまいばらは 米原
北陸道の分岐線 ほくりくどうのぶんきせん
3838 彦根に立てる井伊の城 ひこねにたてるいいのしろ 彦根
草津にひさぐ姥ヶ餅 くさつにひさぐうばがもち 草津
かわる名所も名物も かわるめいしょもめいぶつも
旅の徒然のうさはらし たびのとぜんのうさはらし
3939 いよいよ近く馴れくるは いよいよちかくなれくるは
近江の海の波のいろ おうみのうみのなみのいろ
その八景も居ながらに そのはっけいもいながらに
見てゆく旅の楽しさよ みてゆくたびのたのしさよ
4040 瀬田の長橋横に見て せたのながはしよこにみて
ゆけば石山観世音 ゆけばいしやまかんぜおん
紫式部が筆のあと むらさきしきぶがふでのあと
のこすはここよ月の夜に このすはここよつきのよに
4141 粟津の松にこととえば あわづのまつにこととえば
答えがおなる風の声 こたえがおなるかぜのこえ
朝日将軍義仲の あさひしょうぐんよしなかの
ほろびし深田は何かたぞ ほろびしふかだはいずかたぞ
4242 比良の高嶺は雪ならで ひらのたかねはゆきならで
花なす雲にかくれたり はななすくもにかくれたり
矢走にいそぐ舟の帆も やばせのいそぐふねのほも
みえてにぎおう波の上 みえてにぎおうなみのうえ
4343 堅田におつる雁がねの かたたにおつるかりがねの
たえまに響く三井の鐘 たえまにひびくみいのかね
夕ぐれさむき唐崎の ゆうぐれさむきからさきの
松には雨のかかるらん まつにはあめのかかるらん
4444 むかしながらの山ざくら むかしながらのやまざくら
におうところや志賀の里 におうところやしがのさと
都のあとは知らねども みやこのあとはしらねども
逢坂山はそのままに おうさかやまはそのままに
4545 大石良雄が山科の おおいしよしおがやましなの 山科
その隠家はあともなし そのかくれがはあともなし
赤き鳥居の神さびて あかきとりいのかみさびて
立つは伏見の稲荷山 たつはふしみのいなりやま 稲荷山
4646 東寺の塔を左にて とうじのとうをひだりにて
とまれば七條ステーション とまればしちじょうすてーしょん 京都
京都々々と呼びたつる きょうときょうととよびたつる
駅夫のこえも勇ましや えきふのこえもいさましや
4747 ここは垣武のみかどより ここはかんむのみかどより
千有余年の都の地 せんゆうよねんのみやこのち
今も雲井の空たかく いまもくもいのそらたかく
あおぐ清涼紫宸殿 あおぐせいりょうししんでん
4848 東に立てる東山 ひがしにたてるひがしやま
西に聳ゆる嵐山 にしにそびゆるあらしやま
かれとこれとの麓ゆく かれとこれとのふもとゆく
水は加茂川 桂川 みずはかもがわかつらがわ
4949 祇園 清水 知恩院 ぎおんきよみずちおんいん
吉田 黒谷 真如堂 よしだくろだにしんにょどう
ながれも清き水上に ながれもきよきみなかみに
君がよまもる加茂の宮 きみがよまもるかものみや
5050 夏は納涼の四條橋 なつはすずみのしじょうばし
冬は雪見の銀閣寺 ふゆはゆきみのぎんかくじ
桜は春の嵯峨御室 さくらははるのさがおむろ
紅葉は秋の高雄山 もみじはあきのたかおやま
5151 琵琶湖を引きて通したる びわこをひきてとおしたる
疏水の工事は南禅寺 そすいのこうじはなんぜんじ
岩切り抜きて舟をやる いわきりぬきてふねをやる
知識の進歩もみられたり ちしきのしんぽもみられたり
5252 神社仏閣山水の じんじゃぶっかくさんすいの
外に京都の物産は ほかにきょうとのぶっさんは
西陣織の綾錦 にしじんおりのあやにしき
友禅染の花もみじ ゆうぜんぞめのはなもみじ
5353 扇おしろい京都紅 おうぎおしろいきょうとべに
また加茂川の鷺しらず またかもがわのさぎしらず
みやげを提げていざ立たん みやげをさげていざたたん
あとに名残は残れども あとになごりはのこれども
5454 山崎おりて淀川を やまざきおりてよどがわを 山崎
わたる向うは男山 わたるむこうはおとこやま
行幸ありし先帝の ぎょうこうありしせんていの
かしこきあとぞ忍ばるる かしこきあとぞしのばるる
5555 淀の川舟さおさして よどのかわぶねさおさして
くだりし旅はむかしにて くだりしたびはむかしにて
またたくひまに今はゆく またたくひまにいまはゆく
煙たえせぬ陸の道 けむりたえせぬくがのみち
5656 送り迎うる程もなく おくるむこうるほどもなく
茨木 吹田うちすぎて いばらきすいたうちすぎて 茨木、吹田
はや大阪につきにけり はやおおさかにつきにけり 大阪
梅田は我をむかえたり うめだはわれをむかえたり
5757 三府の一に位して さんぷのいつにくらいして
商業繁華の大阪市 しょうぎょうはんかのおおさかし
豊太閤のきずきたる ほうたいこうのきずきたる
城に師団はおかれたり しろにしだんはおかれたり
5858 ここぞ昔の難波の津 ここぞむかしのなにわのつ
ここぞ高津の宮のあと ここぞこうづのみやのあと
安治川口に入る舟の あじかわぐちにいるふねの
煙は日夜たえまなし けむりはにちやたえまなし
5959 鳥も翔らぬ大空に とりもかけらぬおおぞらに
かすむ五重の塔の影 かすむごじゅうのとうのかげ
仏法最初の寺と聞く ぶっぽうさいしょのてらときく
四天王寺はあれかとよ してんのうじはあれかとよ
6060 大阪いでて右左 おおさかいでてみぎひだり
菜種ならざる畑もなし なたねならざるはたもなし
神崎川のながれのみ かんざきがわのながれのみ
浅黄にゆくぞ美しき あさぎにゆくぞうつくしき
6161 神崎よりはのりかえて かんざきよりはのりかえて 神崎(現・尼崎)
ゆあみにのぼる有馬山 ゆあみにのぼるありまやま
池田 伊丹と名にききし いけだいたみとなにききし
酒の産地もとおるなり さけのさんちもとおるなり
6262 神戸は五港の一つにて こうべはごこうのひとつにて 神戸
あつまる汽船のかずかずは あつまるきせんのかずかずは
海の西より東より うみのにしよりひがしより
瀬戸内がよいも交じりたり せとうちがよいもまじりたり
6363 磯にはながめ晴れわたる いそにはながめはれわたる
和田のみさきを控えつつ わだのみさきをひかえつつ
山には絶えず布引の やまにはたえずぬのびきの
滝見に人ものぼりゆく たきみにひとものぼりゆく
6464 七度うまれて君が代を ななたびうまれてきみがよを
まもるといいし楠公の まもるといいしなんこうの
いしぶみ高き湊川 いしぶみたかきみなとがわ
ながれて世々の人ぞ知る ながれてよよのひとぞしる
6565 おもえば夢か時のまに おもえばゆめかときのまに
五十三次はしりきて ごじゅうさんつぎはしりきて
神戸のやどに身をおくも こうべのやどにみをおくも
人に翼の汽車の恩 ひとにつばさのきしゃのおん
6666 明けなば更に乗りかえて あけなばさらにのりかえて
山陽道を進ままし さんようどうをすすままし
天気はあすも望あり てんきはあすものぞみあり
柳にかすむ月の影 やなぎにかすむつきのかげ

入力:河原一敏
初出:2000年1月8日
更新:2000年1月8日



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